この10数年間、私の夏はとっても忙しい季節なのです。
東北、関西、東京・首都圏…と めまぐるしく一日中飛び回ります。
というのも、この時期は、高校野球が甲子園を目指すのと同じく、管楽器の学生達も「吹奏楽コンクール」に全集中するのです。戦いに青春をかける学生達の指導や審査などに、日々駆け回るのが私の暑い暑い夏なのです。
高校球児が炎天下の校庭を走りまわるのも厳しいことですが、冷房のない室温30℃を超えるなか、常に呼吸を駆使しながら吹き続ける吹奏樂児達が、コンクールに向けての戦いも胸を打つものがあります。
「コンクール」という ひとつの目標に向かってすべてを費やすーという体育会系にも劣らない、ノリのあつーい夏が繰り広げられているのです。

言うまでもなく! 私にもそんな時代がありましたっけ?!
毎日、授業が終わると、即 楽器を持って練習に明け暮れ、そして、年中行事の入学式だの歓送迎会だのと、日頃
部活動に冷たい学校側にも協力しながら、夏は合宿、コンクールに向けての練習をこなすというとても忙しい日々……。その頃から、忙しさに追われた今の私の生活は
ちっとも変わっていないことが不思議でありとてもおかしいのです。
私の高校生活は、音大進学者が多かったので、先輩方は「トレーナー」という立場で、そして、有名プロ奏者の先生方は「コーチ」という立場で、二段がまえの指導があり、とても好環境の中で学び過ごさせていただいたと感謝しています。その頃、私の親友の兄であり先輩でもありトレーナーでもあった「あこがれの先輩」は、現在、教職に付き吹奏楽部の指導、指揮者となっています。
今、私はその学校に「コーチ」という立場で協力させて頂いているのですが、時の流れが作り上げた
立場と時間のずれが とても生々しく そして、なつかしさと面白さが相まってとても複雑な感情をわきたたせているのです。
ん? そんなことではなくて !!
指導する先生方の「コンクール」に向けての ゆるぎのない真剣な部活動、生徒指導の熱意には、時折
心打たれ頭がさがり 尊敬の思いでいっぱいになるのです。指導者という責任感に立ち、学生一人一人のやる気をうながし、目的意識を触発しながらまとめていく……。生徒達は一生懸命、一杯いっぱいのなかで
まさに、体育会系の管楽器、吹奏楽界となってしまうのです。

「お前らなーやる気あんのかよー!!」、「いいかげんにしろよーバカヤロー!!」なんて言葉は、生徒達にはほめ言葉にしか聞こえず、暴言に叩かれることは当たり前で
嬉しいこと?!!
なんて勘違いを起こすほどなのです。今年も聞きました……。何度も……。立場上、一線おけるはずの自分がこうした言葉に敏感に反応してしまうのが、妙に可笑しかったり、懐かしかったり、緊張したり……。
先生方の プライベートな生活や 土日休み返上での熱のこもった指導……。猛暑の中、熱中症になるのでは…と思うほどの室内環境の中での指導……。そこまで、何が彼ら、彼女らを突き動かすのか…?教師としての責任感…?! コンクールへの野望…?! いや、やはり“音楽”、“芸術”、“教育”と言う魅力なのかも知れません。
今年の夏のこうした熱い戦いも ほぼ決着がつきました。燃え尽き、充実感に浸る学校! 悔しくて悔しくて、絶望感でいっぱいの先生と生徒たち!順調に成果を得て次のステップへ勝ち進んだ学校! 結果は様々でしたが、皆
ひたむきに、真剣に、謙虚に、そして、「努力を希望に変える!」という力強い情熱が、今年もひしひし私の胸に伝わってきた“夏”となりました。

気がつけば、何気に空が高くなり秋の気配……。
私はいつも 夏がくれば思うのです。「今年1年間の私は?」「私の音楽は?」と。先生や先輩方の「お前らなぁー!!」、「やる気あんのかー!!」という激励に一番励まされているのは
実は自分自身なのかなぁと思ったりしています。
こうして いつも“夏”になると「初心に返り、原点に戻る」!! 私なのです。
ああ!! “夏がくれば思いだす”………。
若い学生達のコンクールに向けての厳しい練習に……合宿に‥…初恋の悩みに……。また来年の夏は、どんなドラマが待っているのかなァ?! と、希望に胸弾ませ いまから来夏へ思いを馳せているのです。
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