中川美保ライブ見聞録A

「ヴァレンタインコンサート」より

2005611日(土)午後1時から2時30分まで 於:新宿 住友三角ビル43階
文・写真 まびっく会員 藤本直樹 

 去る平成17611日、新宿の都庁近くにある住友三角ビルにおいて、美保さんが講師を勤める朝日カルチャーセンターの主催によるレクチャーコンサートが開かれました。
 このレクチャーコンサートは、通常のコンサートと少し趣向が異なり、楽器や演奏する曲目に関する様々なエピソードなどについて、文字通り「レクチャー」を行うことにより、クラシックサクソフォンの魅力と可能性を、お客様により身近に感じていただくというものです。ピアニストには、中川先生とは公私共に深いお付き合いをされている曽我尚江さんをお迎えしました。
 会場はというと、窓の外には青空の下に広がる新宿の副都心。それを見下ろす高層ビルの一教室の教壇での演奏と、普通ではなかなか味わうことは出来ないシチュエーションに、自然と胸も高鳴ります。



まずサクソフォンの特徴などについてレクチャー。ピアニストは曽我尚江さん

この日もまず始めに、今年の美保さんのテーマでもあるモーツァルトの曲が2曲演奏されました。演奏に先立ち、サクソフォンについての基本的なレクチャーが行われ、続いて、演奏する曲目について「通常のソナタは3楽章形式のものが多いが、演奏する曲は2楽章形式であること」などの説明が行われた後、いざ曲の演奏となりました。いずれもソプラノサックスによる演奏で、華麗な印象のある「ソナタkv.302」、そして、どこか物悲しい音色で始まりながらも、情熱的な響きも持ち合わせた「ソナタkv.304」。いかにもモーツァルトらしい、どこか高尚な感じを受けたのは、ただそれがモーツァルト作ということだけではないのでしょう。他でもない美保さんのサクソフォンの音色が、それだけの名曲を支える重厚な響きを持ち合わせていたからこそなせる技なのだと思います。
 続いては、テンポの良いリズミカルな「プロヴァンスの風景」(モーリス作曲)が演奏されました。モーツァルトの優雅な曲調とは打って変わって、演奏者のテクニックが求められる技巧的な曲でしたが、そこはプロ奏者。見事なフィンガーテクニックで集まったお客さんの目を点にしたことと思います。
 途中、「他の管楽器は3オクターブ出るものが多いが、サックスは2オクターブ半までしか出ないこと」や「フラジオ奏法という特殊奏法により、倍の高音を出すことが出来ること」など、レクチャーコンサートならではのお話も盛り込まれながら、その後は、美保さんの演奏では「オブリビオン」でおなじみのアルゼンチンの作曲家・ピアソラ作「タンゴ物語より」と「オブリビオン」の2曲が演奏されました。

 そして、最後はボルヌ作曲の「カルメン幻想曲」。美保さんにとっては初の挑戦だったようですがおなじみのメロディーと、美保さんの熱演により、小さな教室がコンサートホールにも感じるほどの感動を受けました。



モーツァルトの曲をソプラノサクソフォンで2曲演奏

周知期間が足りなかったせいもあるのか、事前の広報活動も及ばず、残念ながら20名弱の方達にしかご参加いただけなかった今回のレクチャーコンサートでしたが、少人数で中川美保を独占し、普段のコンサートにひけをとらないレパートリーを、そして当然のことながら通常のコンサートと何ら変わることのない演奏テクニックを間近に聴くことができ、参加された方々もさぞかしご満足いただけたことと思います。
 是非また機会を見つけて、このような催しにチャレンジしていただき、少しでも多くの方に「なかがわみほ」のレクチャーを受けていただきたいな、と切に願っています。