中川美保ライブ見聞録A

「ヴァレンタインコンサート」より

2006年2月12日(日)
文 まびっく会員 須田哲夫 / まびっく事務局長 進藤凉三 / 会報“まびっく”編集委員長 遠藤一男

 2月12日、ノナカ・アンナホールで開催されたヴァレンタインコンサートは、中川美保さんのサクソホンと越野景子さんのピアノとが渾然一体となった素晴らしい演奏で、どの演奏も甲乙つけがたい名演であった。
 越野景子さんのピアノ伴奏は、あの熱狂的な感動を巻き起こした、紀尾井ホールでのアドリアン・コック氏の演奏会を思いおこさせた。伴奏というよりは競演と呼ぶに相応しいもので、曲によって、ときには反発し、ときには寄り添い、ときには溶け合い、二人のソリストの奏でる音は、最大限の相乗効果となって、会場全体を豊穣な世界へと包み込んでいった。
 卓越した演奏技術は勿論のこと、音符に込めた作曲家の思いを、感情豊に表現した「オブリビオン」。聴きなれていたはずの曲は、越野景子さんというピアニストを得て、圧倒的な迫力と説得力を持ち、曲の持つ悲痛な思い、もどかしさを、鬼気迫る演奏で聴くものを圧倒した。美保さんの演奏会には、必ずこの曲が演目に組み込まれているが、今回の中川美保さんの演奏で、この曲に拘る理由がよく判った。
 この演奏会に参加できたことに無上の喜びに浸っている。(遠藤一男)



 2月12日はヴァレンタインデーを迎えて、渋谷・道玄坂のノナカ・アンナホールで満席の人々は彼女とピアノの越野景子さんの息の合ったところに拍手や手拍子で応えた。
 ぼくは第一部ではプッチーニーの「トスカファンタジー」に心うたれた。第二部ではこの日の主題である「マイファニーヴァレンタイン」の曲を吹き上げた。
 リクエストコーナーは、「黒人霊歌」、「青春の輝き」、「ロンドンデリーの歌」をしみじみと聴かせた。
 最後はピアソラの「リベル・タンゴ」など2曲と「愛の賛歌」をフランス国立ロマン・ビル音楽院に2度留学し、首席で卒業した彼女らしい古典曲と現代音楽に酔いしれた。
 この日、あいだの休憩時間にワインが注がれ、人々の間でさんざめきがひろがった。帰途、夕暮れの道玄坂をくだる私は、至極ご満悦だった。(須田哲夫/大東文化大学名誉教授)



 肌をさす寒風のなか「ノナカ アンナホール」は満席の参加者の熱気と中川美保さんと越野景子さんの素晴らしい演奏で会場は“暖かく、心地よい”雰囲気につつまれていました。
 ヴァレンタインのいわれも知らないまま過ぎた歳月に思いをはせて参加したコンサート。越野景子さんと学生時代からの友情を確かめ合うような息のあった演奏とトークで、いつの間にかプログラムはすすみ、気分はすっかり“ヴァレンタイン”…
 モーツアルト生誕250年に因んだ「ソナタKV303・第一楽章」の演奏と軽快なトーク。越野景子さんの「愛の夢」(リスト)の独奏などあっという間に1部が終わった。
 ドリンクサービスタイムをはさんで2部はジャズナンバーのマイファニーヴァレンタインから一気に「愛」の気分。
 寄せられたリクエスト曲目とメッセージの紹介。「アメージングレース」「青春の輝き」「ロンドンデリーの歌」に寄せるみなさんの「思い出」は、お二人の卓越した演奏で一層輝いていました。最終章は中川美保さんのコンサートでは欠かせないA・ピアソラの「リベルタンゴ」をはじめ、「オブリオン」「さとうきび畑」「愛の賛歌」アンコール「明日に架ける橋」で終幕となりました。外の寒さも、ヴァレンタインコンサートで満ち足りた心と体には心地よかった。(進藤涼三)